押見修造先生の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を読みました。
かなり前にイケハヤ先生のブログで知って気になってたんですが、なかなか機会がなくスルーしてました。
先日(といっても1ヶ月以上前ですが)、アリカワシュウヘイさん(id:menheraneet)のブログで紹介されていて読みたい熱が再燃しました。
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ストーリー
簡単に紹介します。
主人公の大島志乃は吃音症(どもり)があり、特に母音で始まる言葉が発しにくいという悩みを抱えてました。そして高校に入学して、クラスでの自己紹介でやらかしてしまう。何度も家で練習したけど、いざ人前に出ると名前が言えない。苗字が母音で始まるからだ。これは可哀想、、、(´・ω・`)
そしてクラスの中に菊池という空気の読めない男子がいて、そいつが志乃のことを大笑いしてしまう。周囲もつられて教室全体が爆笑の渦に。後になって分かることだが、菊池も決して悪気があったわけでなく、空気が読めずにやらかしてしまう悩みを抱えていた。
そんな爆笑の中で一人笑わずに冷めていた女子生徒、加代。志乃と加代は「おちんちん」がきっかけで交流することになります。それにしても「おちんちん」は意表を突かれたw そして加代にも悩みがありました。音楽が大好きなのに、かなりのレベルの音痴であるという悩みでした。
それぞれがそれぞれの悩みを抱えながらもそれと向き合い、そして乗り越えていこうとするマンガです。吃音が治るとか症状が和らぐとか、そんな非現実的な終わり方ではなく、もっと現実的で納得できる終わり方でした。
著者も吃音症だった
マンガのあとがきで押見修造先生も吃音症であることを明かしている。そして自身の体験が下地になっていると。
さらにあとがきにはこんな言葉が綴られている。
この漫画では、本編の中では「吃音」とか「どもり」という言葉を使いませんでした。それは、ただの「吃音漫画」にしたくなかったからです。
とても個人的でありながら、誰にでも当てはまる物語になればいいな、と思って描きました。
確かに本編には「吃音」「どもり」といった言葉はまったく出てこなかった。
菊池も単にやらかしてしまうっていう描かれ方だったけど、実はアスペルガー症候群だったかもしれないと思った。
俺は吃音症を題材にしてることを予め知ってから読んだわけだけど、これを知らずに読んだらどんな感想を持ったのかな? そこはちょっと気になる。
そして「誰にでも当てはまる物語」というのは確かにそうで、やっぱり人はそれぞれ悩みやコンプレックスを大なり小なり抱えているもの。そういった悩みに向き合う勇気をくれる漫画でした。
特に志乃の「私をバカにしてるのは 私を笑ってるのは 私を恥ずかしいと思ってるのは 全部私だから」というセリフは心にじんときました。(´;ω;`)
とはいえ、現実はなかなか厳しいですね。この漫画を見ても乗り越えられない現実というものがあります。
ググって見つけたこちらのニュース。
吃音に悩み自殺してしまった看護師の男性。
彼の部屋にはこの漫画があったそうです。
読めば解決するとかそんな単純なものじゃないんだよね。
それでもこの漫画にはコンプレックスに本気に向き合うためのヒントのようなものがあると思いました。
思春期やコンプレックスを描かせたら最強の押見修造先生
やはり押見修造先生といえば、『惡の華』でしょう。名作です。あの展開でよくあのエンディングに落ち着かせたなぁ、と思った。まぁ、思春期の大問題って大人になるとそうでもないってのはあるけど。
なんというか思春期、コンプレックス、変態、トラウマ、鬱屈した思い、を描かせたら最強なんじゃないかと思います。
あまり有名じゃない?かもだけど、こちらの『デビルエクスタシー』もかなり引き込まれる作品。酒池肉林というか、テクノブレイクというかそんな感じで。とにかくザームがやべぇ。(((( ;゚Д゚)))
講談社
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というわけで、押見修造先生の作品は名作ぞろいです。
上記『デビルエクスタシー』の後にヤンマガ(だったかな?)で連載されていた『ユウタイノヴァ』にしても、よくこんなストーリーを思いつくなぁ、と感心してしまった。これは最後まで読まなかったけど、とにかくエロかったってことだけは記憶している。エロだけではなく何かしらのメッセージが含まれてたのかもしれんが。。。