「これはネコです」というテロップつきで、キツネが踊りながらニャーとか言ってる謎CM。最初見た時は映画のCMとも気づかなかったくらい意味不明。
調べてみると落ちこぼれ広告マンが広告コンテストの審査員になって奮闘するコメディ映画のようで、何となく気になり始めた。
そして気づいたら公開初日に劇場鑑賞してました。
いやぁ、面白かった。
無茶と書いてチャンスと読め!
広告は好きだけど仕事で結果が出せない落ちこぼれ広告マン、太田喜一郎。演じるのは妻夫木聡。なかなか優男っぷりが見事だ。
喜一郎は上司の大滝一郎(豊川悦司)からサンタモニカ国際広告祭の審査員の代役を迫られる。拒んでも「無茶と書いてチャンスと読め!」と押し付けられる。ちなみに名前の読みが「オオタキイチロウ」で同じという理由だけで指名されたらしい。
そしてこの代役には裏があり、クライアントからの無茶ぶりで出来の悪いちくわのCMを優勝させないと喜一郎がクビになるという無理ゲー状態。
それを知った喜一郎のツンデレ同僚、大田ひかり(北川景子)が苗字が一緒ということで妻になりすまして同行するドタバタストーリーだ。しかし北川景子は綺麗だわ。劇場スクリーンで見ると本当に際立つ。ちょっとキレがあり過ぎる気もするが。
あとトヨエツ演じる胡散臭いCMクリエイターっぷりがなんとも見事。本当にこんな感じの人がいるのかどうか知らないけど、コメディではこういう突き抜けた感じの人が出てくると逆に全体が引き締まる不思議。
こうしてサンタモニカに行くまでの導入部分で色々と伏線が張り巡らされる。特に広告祭について詳しいと紹介された鏡(リリー・フランキー)から授けられた数々の情報とテクニックが一見意味なさげなのに途中からかなり重要な役割を果たすところは見事。
ちなみに以下が授けられたものリスト
- 胡散臭い英語フレーズ
- 食事シーンのための英会話本
- ペン回しテクニック
- おたくグッズ
- カマキリ拳(マネだけ)
うーん、他にもあったかもしれんが忘れた。
サンタモニカ国際広告祭
ググったけど実際にはサンタモニカでの広告コンテストはないっぽい。どうやら世界最大の広告コンテスト、カンヌ国際広告祭(カンヌライオンズ)がモデルになってるようだ。
カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル - Wikipedia
喜一郎とひかりがやってきたサンタモニカ国際広告祭は不正だらけのコンテストだった。世界中からやってきた一流?広告クリエイターがあの手この手で多数派工作をしまくっている。さらにコンテストを仕切る委員長も広告業界の重鎮に金で操られているという腐敗っぷり。なんかモンドセレクションを思い出したが別にモンドセレクションは腐敗しているワケではないんだよなw
ツンデレ女王ひかりはクビがかかってるんだからと喜一郎にも不正でも何でもやれと急かすが、広告を愛する喜一郎は頑として拒む。これはマジでクビになるぞ・・・
逆風は、振り返れば追い風になる
喜一郎がCMを好きになったきっかけは1981年広告祭で最優秀賞を受賞した靴のCMだ。このCMで使われたコピーが「逆風は振り返れば追い風になる」というフレーズ。喜一郎も後で気づくことになるがこのCMの制作者は例の委員長だった。
そして日本からは喜一郎の他に、もう一つの広告会社から木沢はるか(鈴木京香)もやってきていた。最初はいけ好かない女だったが、ひょんなことから彼女も広告を本当に愛していることに喜一郎は気づく。
さらに彼女のCMを見て感動した喜一郎は自分のクビも覚悟の上で彼女のCMを推薦しまくる。仕切り役の委員長が裏で糸を引いていて絶体絶命のピンチに陥るも、鏡直伝の数々のテクニックで逆境を跳ね返していく。
痛快モノ好きにはたまらない。
「これはネコです」のキツネのCM
例のキツネネコCM、映画の冒頭でその謎が明かされる。
※ネタバレ含むため文字反転させてます。
このCMは喜一郎の上司大滝が制作したきつねうどんのCMでした。ただし最初は「これはネコです」なんてついておらず、きつねうどんのコシの強さをキツネが腰を振ることで現したという何とも素人っぽい構成のCMだった。
ところがエースコック社長がネコ好きだったため、急きょ1日でネコのCMに変更しなければならなくなり、大滝はここでも喜一郎に無茶振りする。無茶と書いてチャンスと読まされた喜一郎は「これはネコです」テロップと「ニャー」の吹き替えだけで無理やりネコにするもCMは酷評だった。
ちなみにこのきつねうどんは実際に発売されています。食べてみたい。
映画冒頭で酷評されまくったキツネネコCMがやはり映画のエンディングで活きてくる。どう活きてくるかは映画を見てのお楽しみとしたいが、結果オーライのハッピーエンディングでした。コメディだから当たり前か。
1981年、伊代はまだ16でした
チョイネタで面白かったのが、リリー・フランキー演じる鏡が松本伊代演じる事務社員を指して、自分が広告祭の審査員をやっていたのはあのおばさん(松本伊代のことね)が16歳だった頃だと話すところ。
センチメンタル・ジャーニー (松本伊代の曲) - Wikipedia
実際調べてみると松本伊代がセンチメンタルジャーニーで「伊代はまだ16だから~♪」って歌ってたのが1981年。そう1981年といえば喜一郎が広告クリエイターを目指すきっかけとなったあの靴のCMの年だ。
鏡はあの広告祭に審査員として参加しており、さらにあの委員長と朝まで広告について語り合っていたエピソードも明かされる。何気にこの映画、鏡無双ですべて解決してる感じで笑えた。
コメディでありながら随所に伏線を張り巡らせ、チョイネタを仕込み、しかも笑いもあって、北川景子の美貌っぷりも半端ないというなかなかおいしい映画でした。
こちらは劇場入り口にあった巨大看板。顔を出して撮影できるようになってたw
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